kanariainko’s blog

悲喜こもごもな覚え書き

くれなずむ部屋

相談をされても
何のアドバイス
私にはできない
私にできるのは
その人が表した感情が
怒りなら一緒に怒ったり
涙したなら一緒に泣くだけ

夕日が差し込むその部屋で
遠い記憶が蘇る

「伝えたいことがあるなら
伝えてごらん。言いたいことが
あるなら言ってもいいんだよ」

そう言われた15歳の私は
涙が出て止まらなかった
一言も言葉が出てこないのに
涙だけが次々溢れた
差し出された
ティッシュの箱を
抱えて泣き続けた

誰も私の話なんか
聞いてくれない
私の気持ちなんか
気にしてくれない
それどころか
危険な目やイヤな
思いをするだけだ
だから話すことが怖くなり
伝えることを諦めてきた

「伝えたいことがあるなら
伝えてごらん。言いたいことが
あるなら言ってもいいんだよ」
そう言って優しい眼差しを
くれた人がいた夕日が差し込む
この部屋だけは安全なんだと思えた

的確なアドバイス
役にたつ助言も
できない私はきっと
相談相手としては
役に立っていない

でも私があの時泣けたように
「ここは安全なんだ」と私に
話をする時は気を緩ませられる
時間を過ごせていますようにと思う