kanariainko’s blog

悲喜こもごもな覚え書き

Kちゃんへ

鍵関係に詳しいあなたが決めた部屋をみて「なるほど」と思った
オートロックは芸能人やセレブが住むような本当にセキュリティが
万全は高級マンションなら安心安全なのだろうが、一般人の手が
届くオートロック物件は安心なようでいて安心ではない面があるのは
以前住んでいた部屋で実感している
彼が決めた部屋はオートロックではなかった

そこは今時珍しく大家さん家族が1階に住んでいて
2階~3階が賃貸物件になっていた。
どの部屋の住人も大家さんの玄関前を通って外階段をあがって
出入りするしかないし、家賃も大家さんに手渡しだったから
どの部屋にどんな人が住んでいて、住人の関係者ではどんな人が
出入りしているかを大家さんが把握していた

その大家さん一家は人との距離感が絶妙な人達でおしつけがましかったり
詮索するようなところは全くなく、むしろそ部屋まで不審者が
くるようなこともなく特に仕事で遅くなったときなどは一見賃貸と
分からないその物件には常に灯りがともり生活感がありその灯りが
見えるとホッとしたし安心して眠ることができた

その部屋には3年近く暮らし引っ越しの挨拶に行くと
あなたと私が結婚するために部屋を出るんだよね?と
喜んでくれてペアのシャンパングラスをくれたよね

あそこで暮らしたときが私が20代で一番幸せな時間だったと
あなたにもあの大家さん一家にも今も感謝の気持ちでいっぱいです

チョウスケの話をするつもりが
なぜか別な話になってしまって
でもせっかく綴ったから消すのも忍びないので
このままにします

Kちゃんへ

今日は何について話そうかとメイクしながら考えました

この年になって色々な場面の解釈ができるようになって
私は本当に理解能力がないんだなあと思います

チョウスケの話にしようかな

自分がいなくなった後
私がきちんと生活できるようにと考えたあなたは
私にチョウスケをプレゼントしてくれた
飼育セットに当面のエサもすべて用意したうえで
チョウスケを引き取りに行った

鳴かないし散歩もいらないし夜行性ではないから
私の生活リズムが乱れることもない
最初はこわごわお世話していたけど私がチョウスケに
慣れていくと、チョウスケもまた私に慣れてゲージから出すと
体に登ってきたり手渡したエサも食べるようになった

寿命も約10年前後と長くてその期間があれば
あなたは私の気持ちも落ち着いてまともな
生活をしていると思ったのもチョウスケにした
理由のひとつなのだと今なら分かります

私はいつも何かに依存して生きてきた
小さい頃は親から認めてもらうために成績の良さに
可愛がってくれていたおばあちゃん亡き後は食べ物に
男と付き合うようになってからは性的な快楽とお金に

あなたと付き合い始めた時も私には男がいたし
付き合い始めてからもその場限りの関係の人もいた
ある時部屋にあなたがいる時に私としては「以前寝ただけ」の人が
突然訪ねてきて文字通り修羅場になったけど私はどこか
開き直っていた

どうせ私なんて誰からも本気で好きになってもらえるはずないし

誰と付き合ってもそう思っていた
だから関係が安定して、家族に紹介されたり将来を見据えた話が
でると嬉しいよりも不安が勝ってしまい関係をぶち壊すような真似をして
壊れると「ほらね、やっぱり私は幸せになれないんだ」と納得していた

だから修羅場の時もどこか冷めた目で早く終わってどっちからも
見捨てられるのを待っていた

けどあなたは私を見捨てなかった
自分の職場近くに私の部屋を探して引っ越し費用から全てを負担して
その部屋を引き払った

Kちゃんへ

初めて迎えたクリスマス
みなとみらいの観覧車から見える夜景
今でもドラマとかで映ると当時のことが
色鮮やかに思い出される

いつもお出かけの時は手を繋いでくれた
あの日は寒くて繋いだ手を自分のコートの
ポケットで暖めてくれた

私が用意したプレゼントは写真
色々考えた末に決めた写真だったけど
喜んでもらえるかすごく心配だった

紙袋から額に入ったその写真を見た時の笑顔
私にも誰かをこんなふうに笑顔にすることが
できるんだと心から思わせてくれたあの笑顔

毎週末海に行っていたよね
ボードを持って海へ入っていくのを私はいつも
見送っていた
波待ちのときはしょっちゅう私にボードの上から
手を振ってくれた

その日は朝日が昇る前に海に着いた
太陽が顔を出す前から海面には
光の帯が現れていてその帯の中に入っていく
その後ろ姿が凄く綺麗で思わずシャッターを切った

背が高く引き締まった背中と長い脚
ボードを持つ腕に浮かぶ筋肉
私と触れ合っている時とは違う人みたいに見えた

グレーがかった藍色の海にのびる光の帯
その中を歩いていく後ろ姿

そのショットを引き伸ばして現像した写真

一緒に過ごした間に撮った写真の中で
私が一番大事に思った写真

写真はなくなっても記憶に残っている写真

Kちゃんへ

私やっと20年以上も経ってあの時に行った場所がどこだったか分かりました。

あれは次の日がお休みの前日の夜
「ちょっと遠いけど今から行きたいとこあって」
仕事帰りにうちに寄るなりそう言うから実は少し驚いた

対向車のライトに照らされる横顔がなんだかいつもと違っていて
口数も少なくて私はどこに行くのか聞けなかった

着いたときはもう夜もすっかりふけているのに私達のほかにも
カップルが何組もいたから何かあるのか聞きたかったけど
聞けないままに後をついて行った

そこは砂利と草の道でサンダルで来たことを少し後悔しながら
繋がれた手を頼りに歩いていた

「ここだよ」
そう言われて暗闇の中にそびえる鉄塔を見上げた
何組ものカップルとすれ違いながら階段をあがり視界が開けた所に出ると
周囲の金網には無数の錠前がさがっていた

ここは一体どこで、この鍵には何の意味があるのか分からずただ
金網のずっと向こうにみえる夜景を眺めていた

あなたはしばらくあちこちのポケットを何かを探すようにしていたけど
「まさかの忘れたってやつか」
とポツリと呟いて私と一緒に金網の向こうに目をやった

帰り道で寄ったファミレスであの鍵の意味を教えてくれたね

「今度またちゃんと鍵持って行こう」

その約束は守られなかったけどあの夜そこで鍵をかけていても
私達は変わらなかったと思う

でもだからこそ自分自身に私達ふたりの関係を証明するために
あなたは鍵をかけたかったんだと思う

今頃あの時のあなたの気持ちがわかっても
もうあなたに伝えることはできないのに

キラキラネーム

キラキラネームは就活に悪影響かという
ような記事を読んだ

なぜその子どものせいではないのに
キラキラネームで不採用にするのか

不採用となる理由に納得がいった

キラキラネームは子どものせいでは
ないと人事側もわかっている
そのうえで不採用とするのは
キラキラネームから予測できる
様々なこと

コロナ禍において名前に悩んだ子どもの為に
活動しているミュージシャンがいる
その活動自体は素晴らしいと思う
その子どもを名付けた張本人の親御さんも
悩んでいるという

漢字ではあるが音読みでも訓読みでもなく
あて字ですらない
まず一目みて正確に読める人はいるのだろうかと
思った
イメージに合うような漢字を当てはめたような
予測でも名付けた人以外は思い浮かばないだろうと
いうような名前は今時珍しくない

名前はこどもがこの世に生まれてきて親から
受け取る一番最初のプレゼントだと思う

名前で大事なのは
誰でもきちんと読めること
誰でも容易にかけること
だと思う

自分の名前がいつも読み間違えらたれり
書き間違えらたれりそんなことがしょっちゅう
あったら自分なら、自分を認識してもらえていない
ようでわずらわしく悲しく思わないだろうか

キラキラネームを否定するわけではない
ただこどもの人生の影を落とすような
名付けがよくできるなあと思う

落ちる影などない
それは私の勝手なイメージというなら
そうかもしれない

影をおとす側が頭が固い
というならそうかもしれない

キラキラネームをつけるような親は常識がない
常識がない親に育てられた子どもは
トラブルのもとになる可能性がある
等々採用人事担当の本音をみてみれば
わざわざキラキラネームをつけようとは
思わないと思うが

キラキラネームをつけてしまうような
感性と常識をお持ちな方々はキラキラネームだと
思わないんじゃない?と言われ
なるほどそれなら無駄だと納得した

貴重な感覚

映画館でみた
くれなずめの予告

成田凌
「一生懸命やったんだから良くない?」
みたいなことを言っている
その表情や声のニュアンスや
言いおわる時の瞬間が
なんだかとってもいいなと思う


それまで何とも思っていなかった人を
いいなと思う瞬間
なんでそんなところで?と思われる
自分にしか分からない瞬間
いや…自分でも分からない瞬間

その瞬間を感じさせてくれた
成田凌とそのセリフ

懐かしい感覚
きっともうリアルでは
経験しない貴重な感覚