kanariainko’s blog

悲喜こもごもな覚え書き

階段からくるもの

気配がする
足音もしないのに
気配だけはする

ベッドの上で
家族を呼ぶ

声の限りに
叫ぶように
連呼する

隣の部屋に
いるはずなのに
聞こえないのか

気配は近づいてくる
階段の踊場を過ぎた
そこからはもう
何段もない

ベッドにいるから天井しか
見えないはずなのに
なぜか階段が見える
姿は見えないのに
空間が澱んでいるから
そこにいるのが分かる

階段を登りきった
気配がした

もう家族を呼ぶのは
諦めた
空気が揺らいで
その気配が色濃くなり
絶叫した

自分の声で目が覚めた
手探りで枕元の灯りを
つける

またこの夢だ
いつも階段からくる
この気配は何者なのか

もう何年も同じ夢を
繰り返し見ている